1997 年、高名な経営学者のピーター・ドラッカーは、こう予言した。「大学は生き残らないで しょう。未来は従来のキャンパスの外側、伝統的な教室の外側にあるのです。通信教育は 急速に発展しています。」
ピータードラッカーといえば、言わずと知れた経営学の権威だ。中でもポジショニング派として知られており、外部環境変化にともない社会の教育環境が大きく変わっている中、大学も生き残りをかけて必死になっていると考えられる。
しかし、大学の中はさほど変わっていないように見える。これは変化のスピードが社会全体のスピードに比べて遅いように見える。
現在、18歳人口の減少にともない、大学入学者の減少がささやかれており大学の変革は待ったなしの状況ではあるが、近年は大学の保守的な考えはあまり変わっていない。
日本の大学数は、現在793校、米国の大学数の3982校 (私立が60%で公立が40%) と比べれば数は少ないが、世界的には第2位の多さである。韓国は407校、ドイツは370校と他国より多い。一方で大学の質はどうだろうか?
実は国内の大学の質はさほど高くない。大学のランキングが発表されていてこれを信じれば、2022年ランキングで100位以内に入っている大学はわずか5校のみ。
それでは、人数が多すぎて教育の質が低下しているのかと言えば、どうもそうではない。日本の大学進学率は54%で60万人前後である。これは人口が半分しかない韓国の進学率の2/3ほどになる。日本の大学の進学率は2030年には57%ほどにまで増加するといわれているが、18歳人口の減少にともない50万人まで減少する。国内の2割の大学がなくなる訳だ。
すなわち200校近くの大学が後20年もたたずに消えてなくなることになる。
一方で、社会の教育環境は年々激しさを増している。コロナ禍の影響も有り、ネットワークを通した教育は高度な物になってきている。Youtubeなどの動画により現代人はさまざまな教育をうけ学び、わざわざ遠くの大学まで通わずとも学びを得られる機会が増えてきた。
大学の修了書という既得権益、専門的な研究機関、集団という仲間を創る場というプラットフォーム、さらに長い歴史に裏打ちされたOB・OGの社会的影響力などの強みはまだ残されているが、このような強みがいつまで維持できるかはかなり難しい。
現在では、社会人を受け入れる大学という市場もあり得るが、世界トップクラスの人材として育った国内の社会人が、あえて質の低い教育しかうけられない日本の大学に魅力を感じるかといえば将来的には難しい面もある。
このままでは大学は消滅してしまうのではないかと思えるほど、大学の改革は遅いように見える。
今度、大学はインターネットを介して海外の大学やAI,そしてインターネット上の洗練された教育企業とまずます戦うことになってくると思う。
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